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最新2012年カレンダーの解説

「おまえが生まれてから叩年あまり、あらゆる質問に耐えてきたが、今日を限りに耐えるのをやめた」質問とは相手の状況、相手の興味、関心を推しはかり、自分の興味や関心とすりあわせてするものである。 自分の一方的な興味だけで聞く質問は、相手にとって苦痛以外のなにものでもない。
さらに私は息子に言った。 「今、おまえに許される質問はたった1 つだ。
さあ、それは何でしょう」。 息子はさすがにカーナビとは言わなかった。
しばらく考えていたが、「本を読む。ということと関係ある?」と聞いてきた。 というのは私が始終「本を読め」と言っているからだ。
それは私が常に言っていることであって、今この車の中で必要とされている質問ではない。 たった1つ許されている質問とは、「今日の塾ではいったいどんなことをやるつもりなのか」ということだ。
私の頭の中はこれからやる塾の授業のことでいっぱいである。 今日は何をしようか頭の中で授業のことが高速で回転しているわけだ。
なおかつ息子はその塾に参加するために車に乗っているのである。 2人が一緒にいるのは親子だからということもあるが、塾に行くためであって、その文脈を理解すれば塾に関わる話をするのが当たり前である。
その質問をしてくれれば、私は塾のメニューについて語りながら、自分の頭を整理することができただろう。 人に語ると整理ができる。

頭を整理する鉄則だ。 逆に言えば、頭を整理させてくれるような質問を自分にふってくれる人はありがたい。
だから、一生懸命答えたくなる。 呼び水になって、ああしてみよう、こうしてみようと語り合いながら、目的地に着く頃には一応メニューが仕上がっている。
理想的な時間の過ごし方である。 あるいは、まるで罪の無い話をしてリラックスするのもいい。
「具体的かつ非本質的」な質問によってリラックスすることはあり得る。 私はその時、必死に考えざるを得ない主催者の立場だったので、「具体的かつ本質的」な質問が欲しかった。
息子との聞には凶年の歳月を耐えて、「質問力」の座標軸における禁止ゾーンをつくったというわけだ。 今のエピソードに関連して、もうひとつ別の座標軸を作ることもできる。
縦軸のプラス方向は「今現在の文脈(状況) に沿っている」、マイナス方向は「今現在の文脈(状況) に沿っていない」となる。 横軸はプラス方向が「相手の経験世界、つまり過去の文脈に沿っている」、マイナス方向が「相手の経験世界、つまり過去の文脈に沿っていない」となる。
先程のカーナビの質問は、今現在の文脈にも沿っていないし、相手の経験世界にも沿っていない。 では本に関する質問はどうだろうか。

読書については私が延々とやってきたことだから、過去の経験には沿っているが、今、塾に向かう車中にあるという現在の文脈には沿っていない。 では「今ここでたった1つ許される質問は何か」と聞かれたら、今現在の文脈にも沿い、私の過去の経験世界にも沿うような考えがいいわけだ。
座標軸でいえば右上のゾーンに相手の経験世界、過去の文脈に1台っている現在の文脈に沿っている相手の経験世界、過去の文脈に沿っていない。 入る質問を考えればいい。
その対極にあるのが今現在の文脈にも沿っていないし、相手の経験世界にもフィットし「昨日の夕食は何を食べた? 」という、そのような、今なぜわざわざこんなことを聞く現在の文脈に沿っていないかという質問である。 何でも相手の経験世界に踏み込めばいいというものではない。
たとえばフランス料理を食べている時、いきなり相手の過去の深い話を聞けば、「せっかく料理を味わおうとしているのに、そんなこと聞かなくてもいいじゃないか」となる。 そんな時は料理の話やワインの話をしてもいいだろう。
必ずしも過去の経験に沿っていなくても、今現在の文脈で、出てきた料理、飲んでいるワインについて質問するのは間違いではない。 同様に、今現在の状況にフィットしているテレビ番組の話やスポーツの話をするのもいいだろう。
つまり左上の「今現在の文脈には沿っている」が「過去の文脈には沿っていない」ゾーンである。 ここは状況を「うまく流していくゾーン」といってもよい。
もう一度整理してみよう。 右下がどのようなゾーンかと言うと、自分はあまり聞きたくないが、相手はその質問に答えたくなる。
「気配りゾーン」だ。 友だち同士ではあまりないが、少し距離のある知り合いや仕事上の付き合いの相手に対してはよくありがちである。

自分は興味がなくても、相手が関心を持っていれば、質問して相手を盛り上げる。 まさに「大人ゾーン」と言うこともできる。
できるかできないかで社会生活に差がつく。 このゾーンばかりに集中して質問する習慣がつくと、それは「おべっかゾーン」ということになる。
たとえば自分はゴルフにまったく興味がないのに、上司がゴルフ好きだから「部長、最近ゴルフの方はどうですか?」と聞いてしまう。 部長が得意気に話すのをおもしろそうに聞かなくてはいけない。
あるいは人の息子のことなどまったく興味がないのに「息子さんはお元気ですか? 」と聞くケースも同様だ。 「どうですか? 奥様は? お孫さんは? 」というような話のふり。
「大人ゾーンの質問をすると、相手が喜ぶ。 そこから話が盛り上がるから、世間づきあいという意味では一つの「質問力」として使える方法ではある。
右上のゾーンは自分が聞きたいし、相手も答えたい。 ここは正道の「ストライクゾーン」だ。

相手が答えたくない質問を連発していたら話は盛り上がらないが、相手も答えたいことであれば、一層盛り上がっていくだろう。 このゾーンが基本である。
実際にはこのゾーンは、ずれて、気が付くと「子供ゾーン」にはまっていたり、過剰な「気配りゾーン」に走っていたりする。 一度はっきり座標化して意識化することが大切である。
つまるところ自分の興味と相手の興味をすりあわせて質問を考えるということだろう。 左下のゾーンは「聞いてみただけゾーン」である。
相手が答えたくない上、自分も別に聞きたくなかったことを聞いているゾーンだ。 こんなゾーンの質問をする人がはたしているのかというと、実際にいる。
私がゼミで解説をしていると、授業の腰を思いつきり折るような質問をしてくる学生がいる。 その質問のおかげでそれまでの勢いがぶち切られてしまうのだ。
なぜこの場面でその質問をふるのかと、一瞬怒りを覚えるくらいである。 私も教師生活が長いので、すぐに怒りを収めて質問に答える。
すると質問した当人がよそ見をし始める。 「おまえ、もう聞く気なくしているだろう」と言うと、「すいません、聞いてみただけです」という。
ゼミをやっていると、そうした質問は頻繁に起こる。 何とかしてもらいたいものである。
では実際に座標軸に照らして、すぐれた「質問力」の例をひとつあげてみたい。 H 大学教授の Y 著の『ジャパニーズドリーマーズ』(P 新書) にはかTというレンタルビデオのベンチャー企業に転職した K という人の話が出てくる。

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